【南東北グループ国際医療部 櫻井ゆみ】
もし自分の家族が、がんの告知を受け、自分の国には適切な治療がないが、ある国に行けばよい治療法があると言われたら、海外へ渡航して治療を行うか?
ドイツの主治医からは、通常の放射線治療を提案され、日本とドイツのどちらで治療を受けるか、櫻井の家族と治療方針を相談した。そして、日本で放射線治療を受ける方針が決まりかけた時、ボストンから1本の国際電話があった。それは、将来わたしの上司になる方からで、ボストンには陽子線治療があり、通常の放射線治療より格段によいらしいと言う。さらに、電話を代わった高名な脳外科の医師から「陽子線治療は、がんにピンポイントで照射できる。だから正常な組織に影響が少ない」と説明を受けた。その後、陽子線担当医からも国際電話があり、彼が日本の幾つかの医療機関に陽子線治療を導入した時にアドバイザーを務めた方であること、また偶然にもドイツの主治医と旧知の仲であることが分かった。それなら医療情報の共有や協力も問題ないだろうと考えた。
そのようなわけで、櫻井の両親と家族を説得して、米国で陽子線治療を受ける決断をした。以後5年にわたるドイツ、米国、スイス、日本にまたがる国際がん闘病生活が始まった。
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