【在宅ケア移行支援研究所代表 宇都宮宏子】
今回は急性期病院から退院までのプロセスのうち、第3段階である退院調整について考えてみたい。
Aさんは、病棟の看護師に自宅の様子を話し始めた。がんになって早期退職を余儀なくされたこと。「コロ」という名前の室内犬がいることや、体調が悪くなってから、2階の居室から1階の和室で休むようにしていたこと。トイレもお風呂も1階にあるので、てすりにつかまりながら移動していること。それにコロがまるで付き添うように、一緒についてくること。そんなことを、目を細めながら話してくれた。
病棟の看護師が、「お家で過ごせるように準備しましょうね」と言うと、「ありがとう。外来で『入院が必要です』と言われた時は、もう二度とコロには会えないかな、なんて思ったんだ」とAさんは、涙を浮かべた。
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