【医療法人安中外科・脳神経外科医院理事長 安中正和/医療法人白髭内科医院 院長 白髭豊】
長崎市における地域連携について、「認定NPO法人 長崎在宅Dr.ネット」の活動を中心に述べる。これが、他地域での診診連携がうまくいくヒントになれば幸甚である。
長崎では、訪問診療や往診で在宅を支える医師が少ないことを、いろいろな会議などで知り合いとなった、現理事長である藤井卓医師と現副理事長兼事務局長の白髭豊医師は実感していたという。そこで、2003年3月に、主に長崎市内で開業する、在宅医療に興味を持つ医師13人が集まり、「長崎在宅Dr.ネット」(以下、Dr.ネット)を発足させた。メンバーは、在宅医療を専門とする医療機関ではなく、外来診療や有床診療所などを運営している普通の開業医で、在宅医療もする医師らの集まりであった。
Dr.ネットのモットーは、「少なくとも医師の都合で病院から自宅に戻れない人を出したくない!」であり、このために、一開業医が負担なく在宅医療ができる仲間、システムづくりを行った。参加医師の条件としては、①24時間、365日対応できる意気込みがあること②電子メールによる連絡が可能であること-とした。また、緊急時や主治医が不在の時には副主治医が対応できることを目指し、副主治医が主治医をサポートする体制とした。
発足当時については、伝え聞きではあるが、藤井医師や白髭医師などが中心となり、長崎市内の病院に説明して回り、「とにかく患者さんを在宅に帰してみてほしい」と訴えたという。その努力は並大抵のことではなかったと聞いている。その努力が実り、発足してから3か月後に、患者紹介第1号が誕生した。
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