【日本医療コーディネーター協会理事 水木麻衣子】
日本医療コーディネーター協会は、「医療コーディネーション講座」を開講している。患者・家族の意思決定を支援する上で必要な知識やスキルを学び、修了者は医療コーディネーターの資格認定を得られる講座だ。安くない受講料を払い、交通費と宿泊費も自腹で参加してくださる「篤志家」が多いが、最近は勤務する病院の出資で受講する人たちも増えてきた。病院に限らず、福祉系施設からも参加があり、医療・福祉現場での関心の高さがうかがえる。
わたしは院外の医療コーディネーターとして、悩める患者・家族の相談を受けてきた。そのたびに思うのは、「病院内で解決できる問題なのに、なぜ…」ということである。そこには、院内の患者相談窓口が大半の患者・家族にとって「使えない場所」になってしまっているという悲しい現状が見え隠れする。
その落ち度は病院側にある。顧客サービスを追究する一般企業の常識からすれば、ごく基本的なことだと思うのだが、「誰がどんなときに使う場所なのか」「相談相手はどんな人なのか」「どこまで対応してくれるのか」を明確にしていないことが多い。必要ならばと設置こそしたものの、「聞かれたことに対応する」という受け身の姿勢にとどまってしまい、相談者のかゆいところに手が届くサービスになっていないのだ。結果、患者・家族にとっては「相談しがいのない場所」という印象だけが残る。
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