【日本医療コーディネーター協会理事 水木麻衣子】
「患者との溝は埋まらない」という前提で、5年後の医療界に向けて、病院の生き残りの方途を探るこの連載。1回目は「病気のある人生に向き合える人=『未来の患者』をはぐくむ」をテーマとし、「未来の患者」育成に向けて的確なアシストができる人材を院内に配置することを勧めた。第2回は「医師」に注目したい。
万能を期待され、責任重大で、巨大な裁量を持つ日本の医師。患者・家族をはじめとした外部からの期待値は常に高く、故に期待通りにならなかったときの受け手の失望感や誤解が大きいためか、クレームが最も多い。ただし、患者のクレームを見ていると、疑問を持つこともたびたびある。彼らは医師に何を求めているのだろうか。
多くは「自分のことを分かってもらいたい」「話を聞いてほしい」「対等になってほしい」など、「共感」を欲しているようだ。「医師からの共感」にはどんな効能があるのだろうか? 医師は、本当にそこに重点を置く必要があるのだろうか? 医師の仕事が「適切な診断と治療」であることを疑う患者はいないはずだ。ならば本来、医師を前にした患者は、「自分に何が起きているのか」を正確に聞き取ってくることを優先順位の第一位にするはずである。しかし、患者の満足度で順位が高いのは「共感」だ。ここに課題解決のヒントがあるように思う。
(残り1889字 / 全2473字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】