旅行や留学、海外赴任も含め、日本人が海外へ渡航する機会は増え、海外での感染症罹患者数も増加傾向にある。このような中、渡航前にワクチン接種や予防薬を内服することで、感染症から身を守る海外渡航者外来の開設が全国的に広がっている。奈良県立医科大学附属病院(奈良県橿原市、978床)もその1つだ。【坂本朝子】
同院は6月、新たに海外渡航者外来を開設。完全予約制で、毎週月曜、木曜の午後1時から4時に、感染症専門医が診療に当たっている。子供の受診にも対応するため、木曜には小児科医も一緒に診療。渡航先の感染症情報はもちろん、トラベラーズワクチンと定期接種ワクチンの兼ね合いを確認しながら、相談に応じている。
担当医の1人、中村ふくみ医師(病原体・感染防御医学講座准教授、感染症センター)は、この海外渡航者外来を開設した背景には2つの理由があると話す。
「1つには、奈良県内にプレトラベル(旅行前)に対応できる病院が1か所しかなく、県南部の方には不便で、知識があるのに無防備なまま渡航してしまう方がおられたこと。もう1つには、ポストトラベル(旅行から帰って来た後)の病気を治療している中で、予防が大事だと実感したため」
開設からまだ間がないにもかかわらず、既に20数人が受診。今のところ、個人での相談が多く、大半はワクチン接種だ。
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