【東京歯科大市川総合病院地域連携・医療福祉室係長 大塚光宏】
医療や介護における広報戦略を考えていく上で、広告と広報の違いは押さえておく必要がある。一言で表現すると「広告は一方通行のコミュニケーション、広報は双方向のコミュニケーション」と言うことができる。
新聞を例にしてみる。紙面の下段などには、企業(広告主)が伝えたい商品が載っている。これは、企業がメッセージなど掲載内容を決め、新聞社に広告料金を支払い、載せたいタイミングで、一方通行で新聞に掲載する「広告」である。
一方、新聞記者が取材して掲載される記事が「広報」である。記事は、企業側が一方的にはコントロールできない。記者が良いと思ったこと、伝えたいと思ったことを取材し、記者が記事を書く。つまり、記者は取材という双方向コミュニケーションを通し、客観的な事実を記事にしていく。読者にとって、信頼性が高いのはどちらであろうか。言うまでもなく、記者が書いた記事だ。無論、広告が嘘をついているわけではない=表1=。
医療・介護サービスにおいて、利用者はお客様というより、サービス提供者と共に困難に立ち向かう「パートナー」の関係に近い。「パートナー」にとって大切なのは「信頼関係」である。信頼関係は、双方向コミュニケーションによって生まれるものであり、一方通行のコミュニケーションでは、このような関係は生まれない。
医療・介護サービスを双方向コミュニケーションととらえると、「医療・介護における広報」は利用者との信頼関係を築く強力なツールとなる。
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