【東京歯科大市川総合病院地域連携・医療福祉室係長 大塚光宏】
■マーケティングとは
経営学者のP.F.ドラッカーは著書「非営利組織の経営」の中でこう書いている。
「非営利組織にとってはマーケティングの戦略こそ基本である。非営利組織はマーケットを知らなければならない。マーケティングのプランを持たなければならない。そしてマーケティング上の責任を果たさなければならない。すなわち顧客を中心に置かなければならない。必要なことは分かっているなどと言ってはならない。顧客にとって大事なことは何か、彼らの心をとらえるにはどうしたらよいかを考えなければならない。」※1
つまり、非営利組織こそマーケティング思考が必要だということだ。
人は、生活や仕事において、さまざまな問題点を抱えている。その問題点を解決してもらうと、誰しも“うれしい”という感情が表出する。言い換えると、「相手が抱えている問題点を解決すると、ひとに喜んでもらうこと」ができる。
■訪問先の優先順位の決め方
前述の通り、「相手が抱えている問題点」を把握することが、マーケティングのスタートとなる。そのため、直接、相手に会って話を聞く訪問活動は、有効な方法の一つである。
筆者が現職に就いて最初に行ったのが、膨大に蓄積された紹介患者のABC分析だ。
紹介患者数の多い順番に医療機関をソートし、前年度に最も多く患者を紹介していただいた医療機関を訪問した。多くの患者を紹介する医療機関は、自院に対してのロイヤルティ(loyalty=親密性、信頼性)を持っている証拠であり、ロイヤルカスタマー(loyal customer)(重要顧客)である。事実、上記医療機関を訪問した際に、自院の良いところ、悪いところを数多くご指摘いただいた。入職数か月の筆者よりも自院のことをよくご存じであった。
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