【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2024年度診療報酬改定は高齢者救急をどこが受けるかが最大の争点であり、その受け皿として地域包括医療病棟入院料が新設される。連載第211回で取り上げた“スーパー地ケア”が評価され、この病棟のこれからの動向は注目される。現段階では、当該病棟の施設基準等について分からない部分も多いが、その趣旨からどのような病院がマッチするのか、さらに病院規模・機能別に当該病棟をどう考えるかについて私見を述べる。
地域包括医療病棟は、高齢者救急の受け皿として10対1の看護師配置を前提とし、リハビリテーション・栄養・口腔連携やACP、退院支援機能などを包括的に提供する一般病棟から届け出が可能な特定入院料である。地域包括「ケア」病棟でなく、地域包括「医療」病棟という名が表すように、地ケアよりもより急性期度合いが高く、だからこそ、一般病棟からの届け出しか許容されないのだろう。特定機能病院及び急性期充実体制加算といった高度急性期病院での届け出ができない一方で、総合入院体制加算の届け出病院には道が拓かれている。当該病棟の届け出状況は、連載第168回で言及したように、将来の方向性が模索される総合入院体制加算のこれからの在り方にも影響することは筆致だ。
地域包括医療病棟が地域包括ケア病棟の上位の入院料であるという位置づけが、「スーパー地ケア」と名付けた理由なのだが、地域包括ケア病棟を有する病院がスーパー地ケアにたどり着けるかというとその障壁は低くないものと私は考えている。セラピストの専従配置や管理栄養士の専任配置などが仮にすぐにできなくとも、いずれ対応可能だろう。その他、今のところ不明な施設基準がどの水準に設定されるか、そして点数設定によるところは大きい。
ただ、地域包括ケア病棟の設置は300床未満の病院での設置が多く、病床数によりスーパー地ケアに転換できるか違い出るだろう=グラフ1=。
まず、24年度診療報酬改定で設けられたDPC/PDPSにおける月90件未満のデータ数の病院について基礎係数の減算、DPCの参入・退出(26年度から)に関するルールは200床未満の病院にスーパー地ケアへの転換を足踏みさせる可能性もある。
グラフ2は、病床規模別に1カ月当たりの一般病棟に入棟した患者数を見たものであり、DPC算定病床が100床未満の病院では月90件未満が70%を超えている。
(残り1464字 / 全2527字) 次回配信は2月26日を予定しています
だとすれば、スーパー地ケアにこれらが転換しそうだが、
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