厚生労働省のワーキンググループは7日、国家戦略特区の枠組みを活用した救急救命士による救急車内でのエコー検査の実証試験の可否を議論した。「デジタル田園健康特区」の岡山県吉備中央町などが救命率の向上や予後の改善につながるとして特区での実証の実施を提案したが、安全性や難易度が高いことなどを懸念する声が相次いだ。引き続き議論し、3月末までの結論を目指す。【松村秀士】
救急救命士が医師の指示により病院前で行う救急救命処置は、「自動体外式除細動器(AED)による除細動」や「糖測定器を用いた血糖測定」などに限定されている。しかし、政府が2023年6月に閣議決定した規制改革実施計画の中で、超音波検査(エコー検査)などへの範囲の拡大を安全性や必要性などの視点から検討することとされた。
医療過疎地など高次医療機関への搬送に長時間がかかるエリアで早期対応を可能にすることで、救命率の向上や予後の改善などにつなげるためで、厚労省は同年8月、有識者らの検討会の下に新しくワーキンググループ(WG)を設置し、議論を始めた経緯がある。
WGではエコー検査のほか、アナフィラキシーが疑われる傷病者へのアドレナリンの筋肉内注射に救急救命処置を拡大するか、23年度中に検討する。
また、救急救命処置の範囲の拡大は、国家戦略特区の枠組みを使って検証することになっており、22年4月には吉備中央町がデジタル田園健康特区に指定された。
7日のWGで同町の担当者などが、緊急手術を要する疾患などが疑われる傷病者に対して
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