【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
病院経営において重要な要素の1つが医師の確保です。どの病院も2004年から始まった新医師臨床研修制度以来、医師不足となり厳しい状況に。病院開設主体別の医師不足割合のアンケート調査でも、公立病院の医師不足の状況が明らかです=グラフ1=。
これを病床規模別に見ますと、中規模の病院で医師不足が顕著です=グラフ2=。
なぜ、このように医師不足が顕著になってきたのか、その原因を考えます。
■医師不足の原因その1 絶対数の不足
日本国内における医師数は20年現在、約34万人と言われています(1982年のほぼ2倍)=グラフ3=。
この数値は、人口1,000人当たりで見ると、OECD加盟国の平均以下であり、医師数の絶対数が不足しています。日本において医師数は増加しているというものの、例えば、医師免許を持ちながらも医療行為はしていない退職した元医師がいます。また、最近の傾向として女性医師が増加し、結婚、出産、子育てなど、いろいろな理由で臨床の現場に復帰できず、家庭に入ってしまうケースもあります。
こうした実際には臨床現場にいない医師も数にカウントされています。このため、実際の医療現場では医師数の減少に拍車が掛かっています。現在医学部の学生の約4割が女性と言われており、今後も“統計的な”医師数は増加するものの、臨床現場で働く実際の医師数は不足していくものと思います。
■医師不足の原因その2 新医師臨床研修制度の影響
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