診療所の経営状況が「極めて良好」だとして、2024年度の診療報酬改定は診療所への報酬単価を5.5%引き下げるなど本体をマイナス改定にするべきだとする提言を財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が20日、まとめた。【松村秀士、兼松昭夫】
診療所の報酬引き下げは、財政審の財政制度分科会が1日に開いた会合で、財務省が主張していた。日本医師会など医療団体はこれに猛反発しているが、財政審の提言(秋の建議)にそこからさらに踏み込んだ。
提言は、財政審の十倉雅和会長(経団連会長)がこの日鈴木俊一財務相に手渡した。増田寛也・財政制度分科会長代理はその後、財務省内で開いた記者会見で、「総理が現役世代の実質賃金の上昇を政策課題に据える中で、必要な水準以上に診療報酬を維持すればその分、国民が納める保険料は引き上がることとなる」と説明した。
その上で、24年度の予算編成に向けて、「足元で収益状況が良い診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るのかといった国民的な議論をぜひお願いしたい」と政府に求めた。
財政審の提言では、24年度の改定を「変革期間における診療報酬改定」と位置付けた。その上で、診療所・病院・調剤ごとに経営状況や課題が異なることを踏まえてめりはりを付けた改定にするよう提言し、診療所・病院・調剤報酬ごとに課題も挙げた。
■地域別単価の設定も提言
診療所に関しては、22年度の平均的な利益率が8.8%と極めて高水準にあることや、利益剰余金が積み上がっていることを踏まえ、
(残り318字 / 全948字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】