【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
公立病院が病院経営の点において、医療コンサルタント会社への依存度が高いことは前回説明いたしました。では、なぜ医療コンサルタン会社への依存度が高いのか、また、「どのようにすれば、質の良い医療コンサルタント会社に出会うことができるのか」について説明します。
2022年3月29日に総務省が公表しました「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院強化ガイドライン」にも、「コンサルタントや外部人材の活用についても積極的に検討すべき」と記載されています。現在、日本では医療コンサルタント会社は乱立しています。インターネット、医療系の雑誌で「優良、医療コンサルタント会社」として紹介されている会社を見ても、「優良」の基準が明確にされているものはありません。どのようにして、優良な医療コンサルタント会社を選べばいいのか、契約する場合のポイントを説明します。
■ポイントその1 何を医療コンサルタント会社にお任せするか?
病院によっては、病院経営全部を医療コンサルタント会社に丸投げしているケースもあります。自院の問題点を明確にし、相談内容を明らかにすることが基本です。なぜなら医療コンサルタント会社でも、得意・不得意な領域があるからです。病院の状況やニーズはさまざまです。病院がお任せしたい課題に対してカスタマイズされた提案ができるかどうか確認し、お任せしたい課題を得意としてきた医療コンサルタント会社を選択することが基本です。例えば、現在病院職員の働き方改革が話題になっていますが、病院職員の人事評価に関して、実績のある信頼できる医療コンサルタント会社は極めて限られています(一般企業の人事評価制度で実績のある会社でも、病院では通用しない点にご注意ください)。
■ポイントその2 信頼できる会社かどうかの見極めを!
公立病院で医療コンサルタント会社と契約している病院でも、なぜその会社と契約したのか、その病院の院長に伺っても明確な答えが得られない場合が多いと思います。知り合いの院長からの紹介、医療経営の雑誌での広告、インターネットでの「優良医療コンサルタント会社」の活用-などいろいろあると思います。書店に並ぶ書籍を見ても、「良い病院」のランキング本は多数並んでいますが、「良い医療コンサルタント会社」について、客観的なデータに基づいた会社のランキング書籍はありません。
■ポイントその3 会社の設立からの年数、会社構成のメンバーの確認
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次回配信は11月24日5:00を予定しています
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