【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
政府・与党が近く取りまとめる予定の経済対策で、介護職員らの賃上げを盛り込む方向で調整を進めている。一部報道によると来年2月から月6,000円の引き上げを実施するとされている。
この背景には、全産業平均賃金と介護職員の平均賃金の差が広がりつつあるという問題がある。物価の上昇分を介護サービスの価格に転嫁できない介護事業者は、インフレを上回る賃上げが困難である。一方で他産業では過去最高の賃上げを実施しているなどして、全産業平均賃金と介護職員らの賃金の格差が広がっており、介護分野から人材が流出し深刻な労働力不足に陥る恐れがある。その流れを止めるためにも緊急の処遇改善策が必要と判断したものである。
これに対して関係者からは、月6,000円の改善幅では全産業平均給与水準に遠く及ばず、介護分野からの人材流出の歯止めにはならないという声も挙がっている。だが、国がこの時期に介護報酬改定とは別に、介護職員らの臨時の賃上げに踏み切ることは決して否定すべきことではないだろう。特に次期介護報酬改定の施行時期が、従前の4月から6月に後ろ倒しにされる可能性が高くなっている(※診療報酬改定の実施時期を来年度から6月1日とされることに併せて、介護報酬の改定時期も後ろ倒しにすることが10月11日の介護給付費分科会で論点として挙げられた)。
そのため、介護報酬改定時に現行の3種類の処遇改善加算が統合・一本化された上で、さらなる金額の上積みが期待されていたが、それを待っていては介護職員らの賃上げ実施も6月まで引き延ばされる可能性があったわけである。それが、今回の経済対策で2月実施まで前倒しされることはメリットと考えてもよいのではないだろうか。
■今回もケアマネは対象外なのか
問題は、この賃金改善と報酬改定時の現行の処遇改善3加算の統合・一本化について今後どのように整合性がとられていくのかということだ。月6,000円の給与改善は経済対策の一環なのだから、
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