厚生労働省は29日、2024年度診療報酬改定の基本方針に盛り込む柱立てのたたき台を社会保障審議会の医療部会に示した。改定に当たっての基本認識に位置付ける項目の例として、「物価高騰・賃金上昇」と「患者負担・保険料負担」を併記した。【兼松昭夫】
診療報酬改定の基本方針は、中央社会保険医療協議会による点数配分の議論の前提となり、これまでは、
▽改定に当たっての基本認識
▽改定の基本的視点と具体的な方向性
-を盛り込んできた。
24年度の基本方針でもこの形を引き継ぎ、近年の社会情勢や医療を取り巻く状況を反映させる。厚労省は、正式な基本方針を12月上旬にはまとめたい考えで、たたき台への意見を踏まえて肉付けする。
政府が6月に閣議決定した骨太方針2023では、24年度に行われる診療報酬や介護報酬などの同時改定で、「物価高騰・賃金上昇」や「患者負担・保険料負担」への影響のほか、医療機関などの「経営の状況」や「人材確保の必要性」を踏まえ、「必要な対応」を行うとされている。
厚労省のたたき台では、4つの基本認識の例のうち最上段でそれらを取り上げた。病院団体の委員らは、「物価高騰や賃金上昇、経営の状況を一丁目一番地に書いていただいた。非常にありがたい」(日本医療法人協会の加納繁照会長)などとそろって評価した。
ただ、改定の基本的視点の柱にそれらは盛り込まれず、複数の委員が修正を求めた。厚労省は、これからの修正作業で取り扱いを検討する方針。
基本認識の例としてはほかに、全世代型社会保障の実現、新興感染症への対応、医療DXやイノベーションの推進、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保などを挙げた。
(残り0字 / 全689字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】