厚生労働省は、11日に開かれた医道審議会の医師分科会医師専門研修部会で、2024年度の専攻医募集のシーリングに関連して子育て支援を検討する場合の方向性を示した。シーリング案については、早ければ9月下旬にも厚労相が日本専門医機構に意見・要請を出す予定だが、部会では子育て支援をシーリングに関連付けることに反対する意見が相次いだ。都道府県からも「子育てに配慮した勤務環境の整備を医師偏在対策のシーリングと結び付けるべきではない」との意見が出ており、日本専門医機構が2年連続で提案していた子育て支援は、今回も反映されない見通しとなった。【新井哉】
専門医機構は6月22日に開催された部会で、「社会での労働時間帯の育児支援が重要になってくる」とした上で、保育料の出費は、キャリア継続を医師に断念させる要因の1つになり得るとの考えを提示。専攻医の修練施設には、医師のキャリア持続を経済面でも助ける院内保育の提供などが必要とし、子育て支援とシーリングを関連付ける「加算」を設ける方向性を示していた。これに対し、委員からは「子育て支援に対するインセンティブをシーリングに反映させるのは困難」との指摘が出ていたほか、子育て支援の加算をプログラムごとに行うことは「平等性に欠ける」と懸念する声が上がっていた。
また、都道府県からも、「子育て支援加算は、シーリングの枠外での設定が想定されており、長期的に見れば医師の地域偏在を助長する懸念がある」「専攻医の採用実績が多い医師多数県に有利に働く制度であり、反対」といった意見が出ていた。
それらを踏まえ、11日の部会で厚労省は、子育て支援はシーリングの対象となる医療機関以外にも「原則全ての医療機関が検討すべきこと」だとし、
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