【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■医療介護の自己負担割合の引き上げで、少子化対策の財源を確保か
6月1日のこども未来戦略会議で示された「こども未来戦略方針」案では、異次元の少子化対策の基本理念として若い世代の所得を増やすことが挙げられ、その対策を進めるに当たり国民に実質的な追加負担を求めないことが示された=資料1=。
2024年度からの3年間に集中的に取り組む「加速化プラン」の年間予算額について、岸田首相が3兆円台半ばと指示したと報じられている。社会保険負担軽減などで財源を捻出しようとするならば、診療報酬・介護報酬・年金に大きなメスが入ることは不可避だろう。「こども未来戦略方針」案には、歳出改革について具体的な言及箇所は見られなかったが、高齢化で自然増が見込まれる医療費に切り込む覚悟が感じられる文言になっている=資料2=。また、負担能力に応じた公平な負担を検討するとしているため、医療保険・介護保険の自己負担割合について調整が入ることは避けられないだろう。 (残り1822字 / 全2620字) 次回配信は6月21日5:00を予定しています
■歳出改革のために厳しい改定率の診療報酬改定をすれば、人件費を抑えることに
コロナ禍の22年度診療報酬改定や、それ以前の改定も、改定率は厳しい水準にあった。歳出改革がうたわれている以上、24年度改定の改定率が高くなることは考えにくい。医療機関にとって、改定の影響は、改定率の数値自体よりも、自院に関係のある項目ごとの点数の上下や施設基準などの個別要件の見直しの方がインパクトが大きい。ただし改定率は、その点数上下やDPC算定病院の基礎係数に影響する。そのため、改定率が厳しければ経営がきつくなることは間違いない。
また、少子化対策は「若い世代の所得を増やすこと」=資料1=である。人件費のアップ分を提供サービスなどの価格に転嫁しやすい他産業は、給与アップや、産みやすく育てやすい環境整備に力を入れるだろう。一方、マイナス改定で
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