【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
5月16日に全国老人福祉施設協議会や全国老人保健施設協会など介護関係の11団体は、物価高に対応する2023年度中の緊急的な財政措置や24年度介護報酬改定での対応を求める要望書を政府に提出した。
介護関係団体が緊急調査を実施したところ、23年度の賃上げ率が春闘の賃上げ率を大きく下回っていることや、22年度の離職者は前の年度より増加して他の業種への人材流出が加速していることが明らかになり、「公定価格で経営する介護業界では一般企業と同程度の賃金引上げができず、異業種への人材流出を招いている」と訴えている。
このことは、介護の場で切実な問題として実感されている。22年度の介護事業経営概況調査の結果によると、物価高の影響を受けていないと思われる21年度決算でさえ収支差率は全サービス平均で3.0%しかない。すると22年度決算時の収支差率はこれよりかなり下がり、サービス種別によっては単年度赤字のサービスも出てくるだろう。
現に福祉医療機構が4月に公表した調査の結果では、22年度の通所介護の46.5%が赤字経営であるとされている。全国老施協の調査でも特養(従来型)の4割強の施設が赤字であるなど介護事業所は厳しい経営状況に追い込まれているのである。
■財務省は厳しいスタンス
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