財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は29日、政府が6月に閣議決定する骨太方針をにらんで財政運営に関する提言(春の建議)を取りまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。医療分野では、看護配置を要件とする急性期入院料の廃止や、診療所の新規開設に対する規制の検討などを求めた。【兼松昭夫】
提言には医療や介護など分野ごとの改革案を盛り込み、十倉雅和会長(経団連会長)が鈴木氏に手渡した。それを受け、鈴木氏は「わが国の景気は緩やかに回復してはいるが、足腰が強い経済成長にはいまだ至っていない」と述べ、成長志向の財政運営を目指す考えを示した。
また、十倉氏は「コロナ対策だけでなく、防衛・少子化対策などで厳しさを増す財政状況の中で、効果的な政策への注力や財源の確保が求められている」などと述べた。財務省では、骨太方針への提言の反映を目指す。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、日本の総人口は2100年には現在の半分程度に減少することが見込まれていて、財政審では、人口の減少が国民一人一人の豊かさを低下させるような事態を招いたり、社会保障制度と財政の持続可能性に「負の影響」を与えたりすることへの危機感を表明した。
その上で、
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