【千葉⼤学医学部附属病院 副病院⻑、病院経営管理学研究センター⻑、ちば医経塾塾⻑ 井上貴裕】
前稿では急性期充実体制加算の施設基準で求められる全身麻酔2,000件をどうしたらクリアできるかについてデータを基に言及した。病床規模によって2,000件というハードルは、得られる報酬からすればそれほど高くないのに対して、300床未満の1床当たり6.5件の基準は極めて厳しい。仮に全ての病院にその要件を課すと現在届出病院のうち15%未満しか届け出ができなくなることにも言及した。
一方で全身麻酔のうち緊急手術350件という要件も課されており、これだけ充足できないという病院も少なくない。ここで緊急手術とは、「病状の急変により緊急に行われた手術」と定義され、入院外での急変に限定されるものではない(※)。また、休日に行われる手術またはその開始時間が保険医療機関の表示する診療時間以外の時間もしくは深夜である手術には限定されない(※)。「病状の急変」という定義からすれば、時間外や深夜である必要はなくある意味当然ともいえるだろう。
さらに、「病状の変化により手術予定日を早めた場合」について、各病院において「手術が緊急である」と判断される場合にあっては対象として差し支えないが、手術実施の判断から手術開始までの時間が24時間を超える場合は緊急手術に該当しない(※)。
ただ、緊急手術の捉え方が病院によって異なる現実があり、このことは当該加算に関しての重要論点の1つである。本稿では病院による緊急手術の捉え方のバリエーションについていくつかの考え方を示し、全国のDPC参加病院のデータから緊急手術を増加させるためにどの領域に注力すべきなのかを提示する。
手術は定時手術(予定手術)、緊急手術に分けることが一般的であるが、緊急手術についてはさまざまな考え方がある。
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次回配信は4月3日5:00を予定しています
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