【千葉⼤学医学部附属病院 副病院⻑、病院経営管理学研究センター⻑、ちば医経塾塾⻑ 井上貴裕】
この10月から看護職員処遇改善評価料が診療報酬の対象になり、補助金での支給は終わりを迎えた。この評価料の基本的な考え方として、「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、令和4年 10 月以降収入を3%程度(月額平均 12,000 円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設する」とされ、この解釈次第で支給対象をどこまで広げるべきなのかが問われたのではないかと考える。
本来、この評価料は3Kとも言われてきた看護師の処遇改善を図るために創設されたものであり、看護協会などのロビー活動が功を奏したのか、上記の基本的な考え方にあるように「看護職員」に充てるべき財源なのだと私は理解している。決して、「看護職員等」と記載されているわけではないことが注目される。一方で、看護職員処遇改善評価料の計算式の分子については、「看護職員等」と記載されており、こちらについても保健師、助産師、看護師、准看護師の常勤換算数が用いられている。
とはいえ、「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する」という表現からすると、コロナ対応をしたのは看護師だけではなく、他のコメディカルスタッフも対象にすべきであるという意見が出てくることも十分に理解できるし、「当該保険医療機関の実情に応じて看護職員以外に支給することも可能」である。財源に制約があったため、対象病院が限定され、あらゆる看護職員に支給できないことが事を複雑にした面があると感じるが、それもやむを得ないことだろう。今後の展開に期待する他ない。
本稿では、当該評価料について私が関係する病院がどのような対応をし、その理由ついて整理した上で、私見を交えて今後のあり方について言及する。
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次回配信は11月14日5:00を予定しています
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