【千葉⼤学医学部附属病院 副病院⻑、病院経営管理学研究センター⻑、ちば医経塾塾⻑ 井上貴裕】
2024年度に迫る医師の働き方改革に向けて各病院は対応を迫られているところであり、粛々と取り組みを進めているものと予想される。働き方改革を推進するに当たっては、タスクシフトなどの取り組みが求められるが、どうしても医師でなければできない仕事で、しかも負担が重い業務に集中治療室における夜間帯の常駐がある。本連載でも取り上げてきたが、我が国のICUは諸外国と比べると必ずしも多くない一方で、コロナ禍での集中治療の貢献もあり、22年度診療報酬改定ではプラスの評価が行われた=グラフ1=。その恩恵にあずかれる施設は限られており、だからといってICU等の集中治療室が増えるわけではないだろうし、むしろ減少する可能性が高いと私は予想している。
本稿では、働き方改革を踏まえICU等の重症系ユニットが今後どうなっていくのか、どうすることが望ましいかについて私見を交えて言及する。
救命救急入院料および特定集中治療室管理料の施設基準では、「当該治療室内に重篤な救急患者に対する医療を行うにつき必要な医師(集中治療を行うにつき十分な医師)が常時配置されていること」が要件として掲げられている。これは24時間365日体制のことであり、その治療室内に常に医師がいる状態が求められている。ただし、18年度診療報酬改定において一部要件が緩和され、「患者の当該治療室への入退室などに際して、看護師と連携をとって当該治療室内の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、一時的に当該治療室から離れても差し支えない」こととされた。
とはいえ、
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次回配信は10月31日5:00を予定しています
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