【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
4月13日に開かれた財政制度等審議会の分科会で、財務省が次期介護保険制度改正・介護報酬改定に関連して財政支出をできるだけ抑えるための厳しい給付制限と、さらなる国民負担を求める提言を行った。
主なものは、▽居宅介護支援費の利用者負担を導入する▽要介護1と2の高齢者を「軽度者」と定義した上で、それらの人が利用する訪問介護や通所介護などを市町村による総合事業に移行する▽介護保険サービスの利用者負担割合を原則2割にする▽大規模化・協働化を含む経営の効率化を促す報酬体系にする-ことなど。ただ、それらは果たして不可欠で、やむを得ない施策なのだろうか。
居宅介護支援費について、財務省は、「他のサービスで利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然だ」との見解だが、これは居宅介護支援費に利用者負担を導入しなかった経緯を無視した暴論としか言えない。
居宅介護支援費が全額保険給付されている理由について、国は、「利用者個々の解決すべき課題、その心身の状況や置かれている環境等に応じて保健・医療・福祉にわたる指定居宅サービス等が、多様なサービス提供主体により総合的かつ効率的に提供されるよう、居宅介護支援を保険給付の対象として位置付けたものであり、その重要性に鑑みたもの」としてきた。
つまり、保険給付を現物給付化するためのケアプランは、実質全ての利用者が必要とするものであり、セルフプランを作成する能力がある人でない限り、居宅介護支援は不可欠なサービスなので、選択性のある他のサービスとは一線を画している。さらに、ケアプランによってサービスを計画的に利用すること自体が、必要なサービスを選び、不要なサービスを利用しないという効果につながり、介護給付費の無駄遣いを防ぐ目的と効果があることを見越しているという意味もある。
そもそも、居宅介護支援費に利用者負担を導入しても、介護給付費の抑制効果は見込めないだろう。その理由を次の2点にまとめることができる。
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