【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
医療政策あるいは診療報酬において高度急性期について、病院全体を評価したものとしては特定機能病院、総合入院体制加算、地域医療支援病院、三次救急医療機関などがその代表であろう。
特定機能病院については医療法上の位置付けも明確であり、異論の余地はないだろう。一方で総合入院体制加算については、総合的で高度医療を提供することが前提であるが、届出病院についてさまざまなバリエーションがあるのも現実である。もちろん、診療報酬においても加算1-3と評価が分かれているものの、必ずしも高度急性期病院の機能と整合するとは言えない面もある。連載第61回で総合入院体制加算について、「すぐに廃止することは政策的に現実的ではないが、より高度急性期を評価する報酬体系に変更した方がよい」と主張したが、急性期充実体制加算はまさにそれが具現化されたものと言えるのではないだろうか。
なお、総合入院体制加算1については、救命救急センターの承認を受け、精神病床を有し、さらに6つの実績要件を満たす必要があり、事実上の高度急性期病院である。ただ、精神病床を有するか、救命救急センターであるかどうかは都道府県の承認が関係し、地域の事情によるところでもあり、加算2にならざるを得ない病院も多数存在する。だからこそ、10床未満の精神病床をさまざまな理由から設置した事例も散見される。
ただ、加算2の届出に当たっての4つの実績要件を満たすことは高度急性期病院であるならば必ずしもハードルが高くない。連載第15回でも言及したが、化学療法年間2,000件などその数え方次第であるのも事実なのだ。もちろん、加算1・2では保有することができない地域包括ケア病棟の設置については、2014年3月31日以前に総合入院体制加算を届け出ている場合には地域包括ケア病棟を設置することが可能であり、総合入院体制加算3を届け出ながら、地域包括ケア病棟を有する医療機関も存在するなど機能面の違いがあるのは事実だ=表1=。
表1 総合入院体制加算3の届け出があり、地域包括ケア病棟を有する病院
(※)令和2年度病床機能報告データを基に作成。静岡市立清水病院は令和3年3月に地域包括ケア病棟を急性期一般に再編している
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次回配信は4月25日5:00を予定しています
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