【小濱介護経営事務所 代表 小濱道博】
1.日本国内の大地震がここ10年で急増している
15日に起きた南太平洋のトンガ諸島の、海底火山の噴火による津波が日本の沿岸に到達したことは、自然災害の猛威を再認識させるには十分過ぎた。東京都は、10年ぶりに首都直下型地震の被害想定を見直し、今年中に公開する方針だが、最も大きな被害の想定は、現在東京湾北部から東京23区の城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区)直下を震源とする都心南部直下地震に変更されるとのことだ。
2021年10月7日午後10時41分ごろ、東京都足立区や埼玉県川口市などで最大震度5強の地震が発生した。東京都内で震度5強の地震は、東日本大震災を引き起こした11年の超巨大地震以来、10年ぶりである。マグニチュード7以上の地震を大地震と言うそうだ。27年前の1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災、2004年10月23日の新潟県中越地震、11年3月11日の東日本大震災と、最大震度7以上の地震は10年程度の間隔で発生してきた。しかし、東日本大震災以降の10年間には、16年4月14日の熊本地震、18年9月6日の北海道胆振東部地震と、確実に間隔が短くなっている。
2.自然災害BCPではハザードマップが重要に
21年度介護報酬改定で義務化された業務継続計画(BCP)には、3年間の経過措置が設けられたが、その経過措置期間の1年目が終わろうとしている。ここにきて、急速にBCPへの関心が高まっていることを肌で感じている。BCPの作成が義務化されて以来、私は全国で15施設以上のBCP作成を支援している。複数の拠点を有する介護施設が多く、最大で100事業所を有する法人のBCP作成支援を進めている。
自然災害BCPの支援をスタートする時、必ず介護施設の視察から始める。当然だが、地域によって災害リスクは全く異なる。それを把握するルールがハザードマップだ。現地で、ハザードマップと照らし合わせて目視で確認していく。また、非常食や備蓄品の倉庫なども目で見て確認する。空調システムや自家発電機の有無、貯水槽、井戸水など、確認は多岐にわたる。
3.自家発電機の問題も多い
(残り2331字 / 全3245字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】