【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2022年度診療報酬改定の議論が進行中であるが、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)について心電図モニターの管理の取り扱いをどうするかが論点の1つに挙がっている。この議論は、今までに何度も行われてきたわけだが、資料1が示されたことは注目される。退院の前日あるいは退院日まで心電図モニターの管理を行う医療機関が、急性期一般入院料1の100-199床と600床未満の特定機能病院で、30%を超えるという。
退院直前までモニターの管理が必要な患者を無理やり自宅に帰しているのか、あるいは退院直前までモニターの管理を行わないと、看護必要度の基準値が維持できないなどの懸念からそのような診療が行われているのかなど、さまざまな解釈ができるデータである。
資料1 ※クリックで拡大(以下同)
第7回入院医療等の調査・評価分科会(2021年9月8日開催)入-2-2より
(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000840713.pdf)
なお、12日の中央社会保険医療協議会・総会で示されたシミュレーション結果では、心電図モニターの管理を削除する「見直し案3」では、基準を満たす医療機関が14.2%減少するという=資料2=。これを病床規模で層別化すると、200床以上では9.9%の減少であるが、200床未満は23.3%と影響が甚大であり、心電図モニターの管理を削除する影響は中小病院で大きいことが分かる=資料3・4=。このことは、21年6月30日の「入院医療等の調査・評価分科会」を受けて、連載第150回で、ICU等の重症系の治療室を有する病院とそうではない病院で診療実績が異なり、中小病院はICU等を保有しない傾向が強く、手術等の診療実績も乏しいという結果を提示した。病床規模で急性期かどうかの評価をすることは適切ではないが、一般的に100床当たりの手術や全身麻酔件数は大病院ほど多いのに対して、中小病院は高齢者救急に注力しており、認知症患者も多いという結果を示した。
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次回配信は1月31日5:00を予定しています
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