【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
居宅介護支援事業所の介護支援専門員にとって、LIFEは依然として遠い存在である。他方、LIFE を取り入れた施設や事業所(施設等)では、LIFEに取り組むための基礎知識の習得や、それに伴う意識の変化がにわかに進んでいる。
先日、施設の介護職員と居宅介護支援事業所の介護支援専門員が会する、ケースカンファレンスがあった。居宅介護支援事業所の介護支援専門員が提示したアセスメント情報に関し、介護職員が「そのADLは、何によって評価したのですか」と質問したが、その介護支援専門員は、まるで見当違いの回答をした。介護職員の質問の意図は、ADLの評価ツールは何を使用したのかという確認だった。例えば、FIM、バーセルインデックス(BI)等である。介護職員は、介護支援専門員にはこれらの知識がないことを悟り、それ以上の質問は控えた。
カンファレンスの一連の様子を見て、LIFEが介護業界にもたらしたものの大きさを実感させられた。行政からの指示がなければ、業務に取り入れない居宅介護支援の介護支援専門員は、介護業界の中で確実に後れを取った。
このままでは、居宅介護支援において介護支援専門員が介護職から指示を受けて、それを書き込んでいくケアプラン作成になりかねない。ケアマネジメントプロセスの実質的な工程に、逆転現象が起きかねないことを強く懸念する。筆者も介護支援専門員の一人として、このような状況を少しでも回避したいという思いから筆を取る。
(残り2597字 / 全3242字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】