厚生労働省は20日、小規模病院(許可病床200床未満)や診療所の「かかりつけ医機能」を評価する地域包括診療料の対象疾患に、2022年度の診療報酬改定で心不全や慢性腎臓病(CKD)を追加することを中央社会保険医療協議会に提案した。専門医との連携を促し、治療や悪化予防の管理を円滑にするのが狙い。【兼松昭夫】
それへの目立った反対意見はなかった。ただ、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は心不全やCKDの患者を「かかりつけ医」が管理することに理解を示しつつ、地域包括診療料の対象疾患に加えるべきかどうかは慎重な検討を求めた。
地域包括診療料は、「主治医機能」への評価として14年度の診療報酬改定で新設された包括点数。現在は、外来診療をメーンにカバーし、直近の1年間に患者10人を在宅医療に移行させた実績がある医療機関向けの診療料1(1,660点)と、診療料2(1,600点)の2段階に設定されている。診療所が出来高算定する地域包括診療加算1(25点)と加算2(18点)もある。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の診断を受けた患者の同意を得て、計画に基づく指導や治療を行う。また、院外処方を行う場合は24時間開局する地域の薬局との連携が求められる。
厚労省案は、現在は4つの対象疾患に心不全とCKDを追加する内容。
心不全は、寛解と悪化を繰り返しながら心臓の機能が弱まり、身体機能が少しずつ低下する。悪化に伴う再入院を繰り返しやすく、急性期から維持期までの一貫した診療体制が必要とされる。厚労省は、65歳以上の心不全の新規患者が30年にかけて増加するとのデータを示した。
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