【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■看護必要度の評価としての、妥当性が問われ始めた心電図モニターの管理
1日に開催された、中央社会保険医療協議会・入院医療等の調査・評価分科会の資料「作業グループからの最終報告について」から、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の心電図モニターについての指摘を一部引用する=資料1=。
資料1 診療情報・指標等作業グループにおける検討内容の看護必要度の心電図モニターの指摘内容の一部(赤字は筆者の色付け)
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会(2021年10月1日開催) 資料より一部抜粋
ある医療機関の特定の病棟を見渡し、心電図モニターを装着している患者と装着していない患者を比較すれば、装着している患者の方が看護師の負担が重いと言えそうである。しかし、別の医療機関と比較しようとすると、どうも単純にそうとは言えなさそうだ、というのが上記の指摘だろう。
2022年度診療報酬改定で、心電図モニターは評価対象から除外されてしまうのか。この議論の行方に不安を抱く医療機関があるとしても不思議ではない。その理由は、分科会の資料で示された、A2点かつB3点の条件のみに該当する患者(すなわちA3点以上・C1点以上に該当しない患者)の詳細から読み取ることができる=資料2=。
資料2 A2点+B3点の条件のみに該当している患者のA2点、B3点・B4点以上の内訳 上段:看護必要度I 下段:看護必要度II
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会(2021年10月1日開催) 資料
この資料を単純化するため、横方向で集計した=グラフ1=。看護必要度Iの施設では、心電図モニターが最大の稼ぎ頭であり、看護必要度IIの施設でも、専門的な治療・処置に次いで2番目の稼ぎ頭となっている。このような状況下で、心電図モニターの管理を評価することが適切か否か、議論されることで不安になるのは当然である。
グラフ1 A2点+B3点の条件のみに該当している患者のA2点の項目別該当割合(概算値) 上段:看護必要度I 下段:看護必要度II
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会(2021年10月1日開催) 資料を基に集計
■心電図モニター除外は中小病院・高齢患者の多い病院を狙い撃ちか
大病院ほど看護必要度IIの届出割合が高く=グラフ2=、高齢者の入院患者割合が低い=グラフ3=。この2つのことから、看護必要度Iは高齢の入院患者が多い中小病院で、看護必要度IIは高齢の入院患者が相対的に少ない大病院で該当すると考えてよいだろう。
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次回配信は10月27日5:00を予定しています
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