【小濱介護経営事務所 代表 小濱道博】
1.ワクチン接種が終わった施設でクラスター増加の現実
オリンピック終了後も、新型コロナウイルスの感染者数増加が止まらない。新たな新種であるデルタ株に主流が置き換わり、ラムダ株も見つかった。ワクチンの有効期限の問題も浮上してきた。そのような中、介護施設に続いて、在宅サービスでのワクチン接種が進められている。ワクチン接種を断った職員に、退職を迫る事業所の話も聞く。それに伴って、副反応の話題に多くの関心が集まっている。やはり、接種後の発熱、倦怠感、頭痛、肩の痛みや腕が上がらないなどの問題が拡散されている。特に2回目の接種での副反応が強いようで、救急車で搬送されたケースもある。
接種の翌日は、休日とする措置が賢明のようで、厚生労働省からは接種後の体調不良で職員の配置基準が満たせなくても、柔軟な対応、すなわち人員基準減算には問わない旨の通知も出されている。また、ワクチン接種後は、コロナに感染しないということではない。感染しても重症化しないためのものだ。他人に感染させるリスクは残るので、ワクチン接種も感染対策の継続が必要となる。実際、最近のクラスター状況を見ていると、職員と利用者に、2回目のワクチン接種が終わった施設でのクラスター発生が目立ってきている。油断は禁物である。
2.最大の経営リスクは濃厚接触者
実際、施設等でクラスターが発生した場合、感染症対策指針や感染症対策BCPなどで検討した内容と、大きな違いが生じることも珍しくない。クラスターが発生した時の最大の経営リスクは、職員の多くが濃厚接触者に認定されることにある。濃厚接触者に認定されると、PCR検査が陰性でも2週間は自宅待機を余儀なくされる。その場合の措置として、グループ内または提携先施設からの応援を依頼するなどと記載した指針やBCPを見掛ける。しかし、実際にクラスターが発生した施設の応援で職員を派遣することは、グループ内であってもまれだ。
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