【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
現状維持を願うなら、変化が必要です-(※)。これは、少し古い映画だが、ルキーノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」の一節である。この映画はイタリア貴族と、その没落を描いたものである。時代の潮目をみて、自らを変えられるか。つまり生き残れるか、である。居宅介護支援のケアマネジャーのこれからを想像すると、どうしてもこの一節を思い出さずにはいられない。
2021年度介護報酬改定の柱を見れば、前回改定の4本柱を踏襲し、そこに災害と感染症対策が加わり、大きな変化はなかったと言う人もいる。始まったばかりの科学的介護情報システム「LIFE」について、ログインできない、バックアップデータが取れない、ヘルプデスクから連絡が来ない等、厚生労働省が悪いと責め立てる人もいる。確かに、重要なことであるとは認めるが、未来に起き得ることと見据え、それと比べれば、新しいシステムが始まった時によく生じやすいトラブルの一つ、と見える。
将来起き得ることを見据える。それこそが潮目をみて、自らを変えられるかである。経営者は、厚労省が描いているであろう10年後の姿をリアルに想像し、直視する力が問われているように思う。
やがてLIFEのデータと、利用者番号、給付管理している介護支援専門員を突合し、ケアマネジャーごとに作成したケアプランによる改善・維持・悪化を確認できるようになるだろう。その時、居宅介護支援の報酬は、現在のプロセス評価から、アウトカム評価へと転換可能となる。経営者や管理者には、LIFE を巡り足元で行うことと、年単位で準備すべきことがある。今年は介護保険の未来へ向けた分岐点である。変わらない機能を維持するために、ケアマネジャーは変わることができるだろうか。
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