国と地方の財政健全化につなげるため、社会保障費の伸びを2022年度からの少なくとも3年間、高齢化に伴う増加分に抑えるよう求める意見書(建議)を財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が21日取りまとめた。社会保障など分野ごとの歳出改革を求め、医療分野では、新型コロナウイルスに対応する医療機関への財政支援の見直しなどの具体策を盛り込んだ。政府が夏にまとめる骨太方針への反映を目指す。【兼松昭夫】
建議は、財政審の榊原定征会長がこの日、麻生太郎財務相に手渡した。榊原会長はその後、財務省内で記者会見し、「高齢化と現役世代の減少という構造的な課題に加え、新型コロナ発生という厳しい環境の中で、思い切った構造改革をしなくてはいけない」などと述べた。
新型コロナに対応する医療機関への支援の見直しは、これまでの緊急包括支援交付金などに代え、新型コロナ感染拡大前の診療報酬を概算払いする内容。「診療報酬の不足は診療報酬で補うことが自然」だとしている。
診療報酬による減収分の補填は経済財政諮問会議の民間議員らも提案しているが、日本病院会など四病院団体協議会は4月に声明を出し、過去の実績に基づく診療報酬の補填だけでは到底賄い切れないなどと強く反発した。財政審の提言が骨太方針にどこまで反映されるかが焦点になる。
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