【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護現場での仕事の約2割が、書類の作成や記録に割かれていると言われている。人材の不足が解消される見込みがないこの業界においては、介護職員が直接行うそのような業務の削減が大きな課題になっているが、国が声高に叫ぶ書類の削減は、事務申請書類などの削減に偏っており、現場全体としてはなかなか進んでいない。
今年度の報酬改定・基準改正でも同様のことが言えるが、同時に事務的な書類削減策も空回りし、思うように進んでいないのが現状だ。
例えば、1月18日の社会保障審議会介護給付費分科会で厚生労働省が提示した資料「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」の33ページには、「文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進」として、「利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する」と記載している。しかし、これは介護職員の業務を直接削減するものではなく、相談援助職員や事務職員の対応が間接的に変わる結果にしかつながらない。
また、上記の文章からは、利用者らへの説明や同意は、電磁的な対応を原則認めるほか、同意書による書面同意についても署名や押印を求めない代替方法を示しているように受け止められるが、解釈通知を読むとその運用は非常に狭められていると受け取らざるを得ない。事務負担の軽減にもつながっていないのではないか。
■国が示す電磁的な同意取得や締結の方法とは
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