不妊治療の体外受精には平均で約50万円、顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)では約30万円が掛かるとの実態調査の結果を、厚生労働省が14日、中央社会保険医療協議会・総会に報告した。中医協では、調査内容や夏ごろに完成する関係学会のガイドラインを基に、不妊治療の保険適用の拡大に向けた議論を本格化させる。委員からは、現在の保険適用外の治療方法を全て適用の範囲内にするのは現実的に難しいとの意見が出た。【松村秀士】
実態調査は、希望する人が安全な不妊治療を受けられる環境をつくる政策を進めるための基礎資料とするのが目的で、医療機関の産科・婦人科394施設と泌尿器科88施設、不妊治療の当事者1,636人、一般の人1,166人から回答を得た。
回答した医療機関のうち、不妊治療の患者が全体の7-8割程度の施設は約46%で、男性の不妊外来を設けているのは約36%だった。不妊治療に携わる常勤医師は平均3.34人で、産婦人科の専門医は2.94人。
また、女性の不妊治療の方法を見ると、全ての施設が卵子と精子を体外に取り出して受精させ、受精卵(胚)を子宮内に移植する「IVF-ET」を実施していた。このほか、人工授精(AIH)や融解胚子宮内移植、基礎体温や頚管粘液検査などで排卵を予測して性交のタイミングを指導する方法も、ほとんどの施設が実施。検査については、8割以上の医療機関が超音波検査や精液検査、性感染症スクリーニング、黄体期ホルモン採血、子宮卵管造影検査を実施していた。
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