2020年7月の豪雨災害で浸水した特別養護老人ホーム「千寿園」で14人の死者が出たことを受けて、厚生労働省と国土交通省は18日、避難の実効性を高める方策についての共同検討会を開催。この日を最終とし、おおむね了承された取りまとめの案について、鍵屋一座長(跡見学園女子大観光コミュニティ学部・教授)と事務局で最終調整し、20年度内に公表する。【齋藤栄子】
厚労省と国交省が共同開催する「令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」は3回の審議を経て、「高齢者福祉施設における避難の実効性を高める方策について(案)」を取りまとめた。
案は、20年7月球磨川流域の豪雨災害の概要に始まり、高齢者福祉施設における避難の課題として、▽過去の災害において明らかになった課題と対応▽千寿園の避難に関する主な課題▽全国の高齢者福祉施設の避難体制の現状-を盛り込んだ。また、避難の実効性を高める方策として、▽避難確保計画等の内容や訓練の内容に関する事項▽利用者の避難支援のための体制や設備に関する事項-と、取り組みの留意点などで構成された。
全国の高齢者福祉施設の避難体制の現状について、実態調査の結果では(20年10月31日時点)、7,531施設のうち、洪水浸水想定区域内にある施設は2,048施設、土砂災害警戒区域内にある施設は1,085施設で、両方の区域内にある施設は106施設あった。また、避難確保計画等に定めている避難先は(有効回答5,488施設)、「施設内の安全な場所」が約52%、「自治体の指定する避難先」が約34%、「同一法人(グループ法人を含む)が経営する他の施設」が約14%だった。
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