【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
2021年3月11日で東日本大震災から10年が経ちました。地震と津波による広範囲の被害だけではなく、原子力発電所の事故によって、全てにおいて想定を超える甚大な被害をもたらしました。多くの病院が地震に対する備えをしていましたが、この東日本大震災は津波の影響が大きかったため、重量のある電力設備・CT・サーバーの装置を地下に設置していた病院は、軒並み診療ができない状況になりました。震災と原子力発電所の事故により、交通網の分断等や非常用電源の燃料不足、医療資材不足問題、機材の故障などさまざまな影響が発生しました。
その後、東日本大震災を教訓として、災害指定病院の要件変更や非常用電源の補助金など、医療機関の災害対策が進むこととなりましたが、依然として災害に強いとはいえず、その後も気候変動による豪雨で病院や介護施設が浸水するニュースが幾度となく流れている状況です。
新型コロナウイルスを機に、京都大学防災研究所は20年に感染症指定医療機関の浸水想定状況を調査しました。その結果、全国372ある感染症指定医療機関のうち、河川計画の基準となる規模の洪水で全体の1/4施設が浸水する結果となりました。また、想定される最大規模の洪水では約1/3の医療機関が浸水する結果となり、多くの医療機関が災害リスクのある立地にあることが分かります。
19年7月に厚生労働省が実施した、病院の業務継続計画(BCP)策定状況調査の結果によると(8,372病院中7,294病院が回答)、全体の75%に当たる5,468病院がBCP策定なしとの結果でした。災害時に最も大切な医療を提供できるように、改めて病院の災害リスクを把握し、災害や緊急事態における行動指針としてBCPの策定または見直しを行いましょう。
実際にBCPを策定する上で参考になるのが、東京都福祉保健局が作成している「医療機関における事業継続計画(BCP)の策定について」です。ガイドラインでは、BCPの大切さについて下記のように示しています。
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