【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2021年度の介護報酬改定では、これまでの改定と比べて多くの新たな加算や現行加算の上位区分が設けられる。それらの中には、科学的介護推進体制加算や自立支援促進加算などのように、算定要件として科学的介護情報システム「LIFE」への情報の提出とフィードバックの活用が求められる加算がたくさんある。このことも、次期改定の大きな特徴だ。
現行の加算にもその要件が加えられるものが複数ある。従って21年4月からの介護事業では、LIFEへの情報提出とフィードバックの活用をいかにスムーズに行っていくかが重要な課題となる。事業経営の安定化に直結するからだ。
例えば、施設系サービスの従来型施設などの基本報酬部分を見た場合、10単位以上のプラス改定になっているように見える。しかし、実際には栄養マネジメント加算などが包括化されることを考慮すると、それから15単位を差し引いた数字が正しい改定単位で、実質的にマイナス改定か、従前の単価と変わっていないことが分かるだろう。従って、新設の加算や上位加算の算定漏れをできるだけ防ぐようにしないと、高騰する人件費に見合った収益を確保することができなくなり、事業経営に支障を来しかねない。
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/02/030219.pdf
■CHASEへの登録はお早めに
それを回避するには準備が必要だ。LIFEは、現行のCHASEがVISITと統合されて生まれる介護データベースで、そこに情報を送る方法はただ1つ。介護事業者はアナログのやり方で情報を送ることはできず、現行のCHASE専用サイトから情報を入力・送信しなければならない。
従って、4月からLIFEへ情報を提出するには、それ以前からCHASEに登録してログインできるようにしておく必要がある。CHASEのIDとパスワードはLIFEにそのまま引き継がれるが、VISITのそれらは引き継がれない。そのため現在、VISITしか登録していない事業者はCHASEに登録する必要がある。
厚生労働省から3月10日ごろに発出される解釈通知を待ってこの登録作業を行い、3月末までに終わらせればよいと考えている介護事業者もいるだろう。しかし、登録作業自体は難しくはない。今登録しても損はないため、早めの対応を心掛けた方がいい。
厚労省は2月19日付で「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用などに関する事務連絡を出し、新規の利用申請を早めに行うよう促している。なお、事務連絡では、4月の前半にLIFEの利用を開始する場合は3月25日までに利用申請を行う必要があるとし、留意するよう呼び掛けている。
■LIFE関連加算、情報提供は毎月ではない?
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