【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
機能評価係数IIが各病院に通知される時期が近づいている。来年度の係数はコロナ禍での異例の評価となり、震災特例に基づいた計算が行われるのであろうが、たとえコロナ患者を受け入れても、その重症度や患者数などさまざまな要素を実態に応じて評価することは難しい。ただ、医療機関別係数は機能評価係数IIだけではないし、マラソンと同じで息の長いレースであり、一喜一憂する必要はない。
本稿では、医療機関別係数で下位グループであった千葉大学病院が、2020年10月に大学病院本院群でトップに立つことができたその道程を振り返り、病院機能別の係数対策にも言及する。
グラフ1は千葉大学病院の医療機関別係数の推移である。15年4月に私が着任する前は、大きな変化はなかった。着任後から一気にペースアップして、2年後には1.5を超えることができた。医療機関別係数の0.03は、同院にとって同じ患者数であっても年間1.5億円を超える「真水の増収」となる。これは幸運だったことも否定できないのだが、それなりに取り組みを行ったのも事実である。
グラフ1
私が着任する前は稼働率を重視しており、当時、60床程度の増床許可を得ていたことから900床を超える大きな病院を志向する方針だった(その後、増床はせず権利を放棄した)。確かに、目の前に患者がいれば一定の収入が入ってくるわけで、何よりも経営陣にとっての安心材料ではある。ただ、それではDPC/PDPSという環境において必ずしも適切な評価を受けられない。
そこで、私は着任してすぐに方針を転換し、入院期間II以内の退院患者割合を高めるなど、稼働率ではなく回転率を高める方針に変更し、今でもそれを貫いている=グラフ2=。
(残り3451字 / 全4214字)
次回配信は3月1日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】