【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2021年度の介護報酬の改定率は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価のプラス0.05%(21年9月末までの間)を含めて全体でプラス0.7%となる。しかし、厚生労働省が18日の社会保障審議会・介護給付費分科会で公表した報酬単価を見ると、基本部分について引き下げられているサービスや平均改定率を下回っているサービスも多い。
報酬改定の議論では、介護支援専門員の処遇改善が俎上に載せられたことにより、居宅介護支援費の基本部分は要介護1と2が19単位、要介護3以上は25単位それぞれ増える。また、特定事業所加算に算定しやすい下位区分A(100単位)が新設されたほか、その他の区分も、同加算Iが5単位、IIが7単位、IIIが9単位それぞれ増えており、全体的に収益が増加する内容だ。
ICTを利用した場合などの「逓減制緩和」によって担当件数が増えるケアマネジャーが多くなると思われ、さらに利用者に対するケアプランに占める福祉系サービスの割合などを6カ月ごとに説明する義務が新たに課せられるなど、居宅ケアマネジャーの業務負担が増えることが予測される。しかし、報酬改定で増加する事業収益分を、ケアマネジャーの待遇改善に回すことが期待される。
一方、地域包括支援センターの機能を強化するため、居宅介護支援事業所への予防プランの委託が進むように新設される委託連携加算(300単位/月)については、「利用者1人につき指定居宅介護支援を指定居宅介護支援事業所に委託する初回に限り、所定単位数を算定する」とされ、期待外れに終わった。加算全額を委託額に上乗せしても、初回のみ3,000円増えるだけだ。これを喜んで、受託件数を増やそうとする居宅介護支援事業所はそう多くはないだろう。
しかも、介護予防支援費は7単位しか上がらず、平均20単位以上引き上げられる居宅介護支援費と比べて、さらに差がつくのだから、予防プランの委託は、「より行いにくくなる」と言える。
その他のサービスでは、訪問介護は身体介護・生活援助・通院等乗降介助の全区分の基本部分が1単位の増加。
これに対して、特別養護老人ホーム(特養)は従来型個室で見ると、要介護1と2が14単位、要介護3以上が15単位それぞれ増加となっており、特養などの施設サービスの基本部分の引き上げ幅は、訪問介護や通所介護といった居宅サービスと比べ、やや大きくなる。
■コスパを度外視して算定すると
(残り1938字 / 全2965字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】