【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
1都3県に加え、大阪、愛知など7府県にも緊急事態宣言が再度発出された。史上初であった前回とは異なり、限定的であり、人々の緊張感も緩みつつあるという指摘もある。そんな中で、日本医師会からは「医療崩壊」から「医療壊滅」に至る恐れがあるという声明も出されており、ステージ4の地域を中心に通常の医療提供に支障を来す状況が近づいている。
報道等によると、全国の人工呼吸器装着数は第1波の2倍近くに増大しており、ICU等の集中治療室を新型コロナウイルス患者が一定程度占めていると想定される。
そもそもICU等を保有する病院は限られていて、医療資源を集中的に投下する治療室をどう使うかは医療の質と経済性を大きく左右する=グラフ1=。一般病棟入院基本料、特定機能病院入院料(一般病棟)、専門病院入院基本料を届け出る病床数に対して、特定集中治療室管理料算定病床数は0.8%、その他に救命救急入院料およびハイケアユニット入院医療管理料を含めても全体の2.5%にすぎない。仮に、ICU等への入室が制限されるということになれば、命に直結する重症患者が受けられなくなる可能性もあり、当該治療室の有効活用は平時に増して、その重要性が高まっている。
グラフ1
本稿ではICUの利用実態を、2018年4月から20年3月までのICU(特定集中治療室管理料)を有する40病院、4万3,966症例の実態から明らかにし、当該治療室をどう使うことが望ましいのか、命の選択が迫られる今、そのあるべき方向性を踏まえて考えていく。
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