医系技官OBの霞が関雑ピング 第1回
一般財団法人日本食生活協会代表理事(元厚生労働省健康局長)・宇都宮啓
令和3年(2021年)の介護報酬改定を控えて、社会保障審議会・介護給付費分科会の議論が大詰めを迎えています。私は平成24年(2012年)の介護報酬改定と平成26年(2014年)の診療報酬改定にそれぞれ担当課長として対応しましたが、当時はまだ紙の資料を用いて議論していました。しかしその後、ペーパーレスの推進ということで、会議はタブレット端末を使った方法に変わりました。
中医協・総会の様子(2020年1月29日、厚労省)
ご存じのように、議論ではさまざまなエビデンスが求められるようになり、データを示す資料の量が年々増えているような気がします。
われわれの頃は1回の会議で資料のボリュームが百数十ページくらいだったと思いますが、今は数百ページに及ぶこともたびたびです。
しかし私の経験では、その会議の前の週には本番の2-3倍にも及ぶ資料に目を通し、できるだけ効率的に会議を進めるため、無駄と思われる資料を削除、精選し、必要に応じて統合・修正もしながらまとめていたので、そのようなやり方をもし今もしているとすれば、担当者は気の遠くなるような準備作業をしているのではないでしょうか。
■「紙の資料にミス」なら壊滅的
半面、タブレット端末の導入により、本番に臨む際にはかなり楽(?)になったのではないかと思います。
というのは、以前は傍聴者や関係者の分も含めて資料を少なくとも百数十部も印刷していたので、前日の作業場は戦場でした。資料に重大なミスなどが見つかれば、もう壊滅的です。そのページだけ印刷して差し替えるよりも全てを印刷し直す方が人の手間は掛からないので、膨大な元の資料を全て廃棄して印刷し直すという、非常にもったいない事態が起こりました。それだけに、資料を印刷する前には本当に細心の注意を払ったものです。
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