【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
12月は、来年度の病院経営計画について考える時期です。今年は感染症という不確実性要素が加わり、計画通りに進んだ病院はほとんどないのではないでしょうか? つらい1年となりましたが、収束の見通しが立たない以上、来年も今と同様に感染の拡大状況に、経営が左右されることになるでしょう。
長期化するコロナ禍を見据えた、新たな病院の体制を計画することが大切です。ある病院幹部は、「新型コロナの今後の状況は見通せず、感染状況は続くものとみて経営計画を進める必要がある」と話していました。病院の感染症対策にどこまで力を入れるかは経営者にとって非常に悩ましい問題ですが、長期化することを軸に、受診者・働く職員双方を守る観点からも、投資を進めていくべき状況です。
投資のポイントは、「非接触の推進」「3密を避ける対策」「設備の導入」「広報」などが大切です。
非接触では、大病院の再診は受付の機械化が進んでいますが、クリニックや中小病院ではまだまだ一部で、手続きなど多くの接触場面があります。ホテル業界では、現金を一切受け付けない完全キャッシュレス化や、全てを機械化してスタッフとの接触がないホテルが登場したように、病院でも同様の取り組みが求められます。
3密を避けるための工夫や集患対策として、ITに強いクリニックはウェブサイトを改修して、診察券レス・ウェブ予約・ウェブ問診票などの導入を進めています。特に、若年層の患者はウェブでの予約に慣れていることから、若い客層を中心として新患獲得率が高くなっていると言います。
また、3密を避けるためには、それぞれの科目ごとに待ち時間や診察時間をしっかりと記録して、算定した平均待ち時間をウェブサイトに反映させていくことも対策の1つです。
設備の導入で重要視されるのはPCR検査装置です。院内感染リスクを抑えるためにさまざまな場面で検査の重要性が高まっており、検査会社へ委託するPCR検査ではタイムラグが多く発生してしまいます。国内メーカーが安価な全自動PCR検査装置を発売するそうですし、今後の病院経営を考えると導入メリットは高いと感じます。
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