新型コロナウイルスの感染が拡大する中で民間病院と自治体病院の役割分担の必要性が注目を集めている。新型コロナ感染症の重症患者の治療に専念する自治体や公的病院に代わり通常の救急医療を民間がカバーするなど、公民のすみ分けが医療崩壊を防ぐカギになる可能性があるためだ。日本医療法人協会の加納繁照会長は11月21日、栃木県内で開いた全国医療法人経営セミナーで講演し、民間が担うのが困難な政策医療をカバーしない自治体病院の再編統合を検討すべきだとの認識を示した。【兼松昭夫】
加納氏は、民間病院が日本の医療を支えているとの見方も示した。民間は、病院数ベースで国内の全病院の8割、病床数ベースで7割を占め、救急搬送の6割をカバーしている。また、政府が4月に緊急事態宣言を発令した際、感染拡大防止の取り組みが特に必要な地域として指定された埼玉県や福岡県、大阪府などでは、いずれも救急搬送の7割超を民間が受け入れていて、これまで医療崩壊を防いできた。加納氏は、民間優位の提供体制が、日本の医療崩壊を防いでいるとの見方を示した。
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