厚生労働省は16日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、訪問看護ステーションの人員配置基準に、サービスの提供に当たる従業員のうち看護職員が占める割合を「6割以上」とする要件を設けることを提案した。利用者の療養上の世話や診療の補助といった訪問看護の趣旨を踏まえたサービス提供を促すもの。日本医師会や日本看護協会、保険者を代表する委員らがこれに賛同した一方で、取り残される利用者の存在を危惧する観点から、慎重な検討を求める意見もあった。【吉木ちひろ】
訪問看護サービスの提供を巡っては、これまでの同分科会の検討で、看護職員の割合が「80%以上」など高い事業所では「緊急時訪問看護加算」や「特別管理加算」の届け出を行っている事業所の割合が高いことなど、医療的なニーズを持つ中重度者への対応力の高さがうかがえるデータが示されてきた。一方で、従事者のうち理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の割合が20%以上を占める訪問看護ステーションの割合は年々増加していることや、理学療法士らによるサービスは軽度者への提供に比重が置かれていることなどが指摘されてきた。
社会保障審議会・介護給付費分科会で示された資料
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694882.pdf
16日の同分科会では、一定の経過措置を設けた上で、人員配置基準に訪問看護の提供に当たる従業員のうち、看護職員が占める割合を6割以上とする要件を加えることを、厚労省が明確に提案した。2020年度診療報酬改定では、機能強化型訪問看護ステーションの施設基準に看護職員6割以上という要件が加わっており、21年度介護報酬改定に合わせて介護保険制度でもこれに合わせた基準の導入を検討する。
軽度者へのサービス提供など予防を目的とする場合は地域支援事業などに、リハビリテーションの提供を目的としたサービスの提供に当たっては、訪問リハビリテーションに交通整理していく方針。
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