社会保障審議会・介護給付費分科会は9日、2021年度介護報酬改定・保険制度改正に合わせて取り組む、介護事業者などの感染症や災害への対応力強化について検討した。介護報酬上の手当てや基金などを用いる予算事業の活用のほか、事業継続計画(BCP)や非常災害時における地域連携の在り方といった事業者が行うべき対応の運営基準への記載による義務付けなど、総合的な視点から手だてを探った。通所系サービスに対する基本報酬の“2区分上位特例”をはじめ、新型コロナウイルス感染症への対応として認められている臨時的な取り扱いについても意見を交わした。【吉木ちひろ】
厚生労働省はこの日、災害や感染症への対応を進めるための方策として、現在は施設サービスの運営基準として義務付けている感染症対策に関する「委員会の開催」や「指針の整備」を通所系・訪問系などにも求めること、さらに施設サービスも含めた全ての介護サービス事業者を対象に、BCP等の策定、研修、訓練などを行うことを義務付けることを提案。加えて、災害訓練の実施などでの地域住民との連携についても運営基準の中に努力義務として明記することも検討事項として示した。ただし、運営基準に義務としての規定を盛り込む際には、一定の経過措置を設けることとしている。
また、新型コロナウイルス感染症への対応として、現在「臨時的」に認められている各種緩和措置の扱いについても検討を促した。現在は、一時的に人員基準などを満たせなくなった事業所に対して介護報酬の減額を行わないなどの柔軟な取り扱いが認められている。
サービス別でも、高齢者へのサービス提供に従事したことがある人材であれば、資格がなくても訪問介護サービスの提供を可能としたり、ケアプランで予定されていたサービスの利用がなくなっても、必要なケアマネジメント業務を行うなどしていれば、居宅介護支援費の算定を認めたりするといった対応が取られてきた。
(残り498字 / 全1312字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】