【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
ヨーロッパの新型コロナウイルス感染症の再拡大により、世界の感染者数が過去最高になるなど、医療環境においては相変わらず復調の兆しが見えないどころか、医療現場の窮迫が再燃している状況です。国内においては、全国的にじわじわと感染者数が増え始めている状況となっており、緊張感も高まりつつあります。
この時期、同時流行が懸念されていたインフルエンザに関しては、10月現在で例年に比べて非常に少ない感染者数となっており、大きな混乱にはなっていません。しかし、インフルエンザの診療は内科系医療機関の診療収益割合が大きいため、患者の少ない状況が続けば、コロナによる診療控えからの経営不振が加速するのではないか? と感じております。
医療機関の売却・廃業案件が増加しているとの話が、各所から当社に入ってきます。開業して間もなく、患者が定着していないクリニックなどが多額の撤退費を払ってまで廃業するケースも出ています。また、患者減で苦しむ病院は、医療部材高騰と衛生資材の品薄の状況が続き、経営改善される見込みがない状況です。
新型コロナウイルスによる終わりの見えない経済悪化は多方面で見られ、その中でも移動規制により大打撃を受けている観光業・飲食業の需要喚起をするために、「Go Toトラベル」や「Go Toイート」が始まりましたが、この効果から各地でにぎわいを取り戻しつつあるとのニュースもあります。
私が気になったのは、「楽天トラベル」や「じゃらん」など店舗を持たずインターネットのみで販売する旅行業者「OTA」(Online Travel Agent)の販売数が配布予定を上回ることから、10月に一時販売規制がかかったことです。昔はJTBや日本旅行など店舗を構える旅行会社が、企業・団体から個人の企画旅行まで非常に強い力を持っていました。コロナ禍の今では、対面の必要がないOTA企業からの予約が殺到して、店舗の存在感は薄れつつあります。
OTAは店舗を持っていないため経費が安いというだけではなく、リアルタイムで価格設定できるというメリットもあり、近年の情報社会に適合しています。片や、大手はOTAが苦手な細かな手配などができるので、法人営業や団体に特化していく傾向にあるようです。
医療業界においても、初診からのオンライン診療が恒久化解禁間近となり、診療の新時代を迎えています。オンライン診療では、病院の立地・施設・規模などの存在感が薄れ、目に見えづらい「信頼感」や「利便性」がユーザーから求められます。まさにピンチともチャンスとも取れる状況ではありますが、
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