社会保障審議会・介護給付費分科会における居宅介護支援を巡る議論では、特定事業所加算の見直しや、サービスの利用につながらなかった場合のケアマネジメントへの対応なども議題に上っている。厚生労働省が10月30日、2021年度介護報酬改定に向けた検討事項として示した。【吉木ちひろ】
居宅介護支援を巡る検討事項として示されたのは、▽質の高いケアマネジメント▽通院時の情報連携▽緊急的な対応に係る実費の徴収▽サービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方▽介護予防支援における外部委託を行いやすい環境の整備を進めるための支援-について。
厚労省は、緊急時等に発生するケアマネジメント業務以外の業務(市町村独自サービスへの代理申請や入院時の付き添い、介護や環境支援にはつながらない相談など)にかかる費用については実費徴収ができることを明確化することや、退院時などにケアマネジメントを行ったものの、サービス利用につながらなかった際の居宅介護支援費の算定について議論を促した。
緊急時の対応での実費徴収については委員から、「明確化することが良い面がある半面、ケアマネ業務とそれ以外との線引きが微妙」「ケアマネはすでに何でも屋状態。明確化することによって、緊急時対応にとどまらなくなって、忙しくなるというような懸念が聞かれる」(伊藤彰久・連合総合政策推進局生活福祉局長)、「共助の仕組みの中で介護保険が担う役割というのは、十分検討する必要がある」(江澤和彦・日本医師会常任理事)など慎重な検討を求める意見が複数あった。
濱田和則委員(日本介護支援専門員協会副会長)は、日常の典型的な対応で明らかに業務外のものであれば検討の余地があるとの考え方を示したが、「緊急時の場合は実費徴収の事前了解が難しい」ことなども想定されるとして、成年後見制度の普及促進など、ケアマネジャー以外の社会資源での対応も検討するよう求めた。
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