【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
厚生労働省は4月15日、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(第9報)を出し、Q&A形式で解釈を示した。この日は、国が緊急事態宣言の対象区域を、同16日から全国へ拡大することを決めた日でもある。
このQ&Aには、利用者宅で通所系サービスを提供する内容について、「『居宅を訪問し、個別サービス計画の内容を踏まえ、できる限りのサービスを提供した場合』に提供したサービス区分に対応した報酬区分を算定できるが、この場合、利用者への説明及び同意が前提であるが、通所に代えて居宅でサービスを提供する場合に、通所系サービス事業所において提供していたサービス全てを提供することを求めるものではなく、事業所の職員ができる限りのサービスを提供した場合に算定することが可能である」として、サービス内容は自宅に適したものでよいとの解釈を示した。
さらに、次の3つの考え方も示している。
1.利用者及び職員への感染リスクを下げるため、指定を受けたサービスの形態を維持しつつ、サービス提供時間を可能な限り短くする工夫を行った結果、サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満)となった場合、利用者への説明及び同意が前提であるが、利用者の生活環境・他の介護サービスの提供状況を踏まえて最低限必要なサービス提供を行った上で、その時間が最も時間の短い報酬区分で定められた時間を下回ったときは、当該最も短い時間の報酬区分で算定することは可能である。
2.なお、提供時間を短縮し、最低限必要なサービスを行った結果が、ケアプランで定められたサービス提供時間を下回ったときは、実際に提供したサービス提供時間の区分に対応した報酬区分を算定する。
3.上記の取扱いは、休業となった事業所と異なる事業所、公民館等の場所を使用して、指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合も、同様である。
厚労省は同24日、同様のタイトルの事務連絡(第10報)を出し、介護予防・生活支援サービス事業についても、通所介護の臨時的な取り扱いと同様に取り扱う方針を明らかにした。
また、通所介護と関連する問題としては、3月6日付の第4報の問7での「通所介護等の利用が出来なくなった発熱等の症状のある利用者に対する訪問介護の提供増加や職員の発熱等により、人員基準上の必要な資格を持った人員が確保出来ない場合」の解釈として、「訪問介護員の資格のない者であっても、他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者であり、利用者へのサービス提供に支障がないと認められる者であれば、訪問介護員として従事することとして差し支えない」としている。
この取り扱いは、問7の場合に限らず、個別の事情を勘案し、新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的に訪問介護員の資格を持った人を確保できないと判断できる場合は、幅広く認められるとしていることに注目したい。
訪問介護の分野は将来的に、人材の枯渇が予想されるので、この特例を“橋頭堡”にして、初任者研修などの受講資格のない人の訪問介護を広く認める方向性につながってほしいと考えている。
■通所介護、実際よりも2区分上位の報酬算定が可能
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