【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
新型コロナウイルスの感染拡大の長期化は、介護経営にも大きな影を落としている。そのため、国は介護事業者に向けた助成金支給などの救済策を講じながら、介護給付費の特例算定などを認めてきた。そのことについて、一部の関係者からは、「救済は公費で行うのが筋であり、利用者の自己負担を伴う介護給付費で救済するのは適切ではない」という反対意見も上がった。
※「通所介護関連のコロナ特例、時系列で整理・下」は、30日の5時に配信予定。
しかし、感染予防対策として事業を一時休止した小規模事業者の中には、サービスを提供して2カ月後に支払われる介護給付費が大幅に減少した時点で経営危機に陥らざるを得ない所も多く、国による救済にはスピード感が求められたことを考慮しなければならない。公費を財源とした救済策のために、国会での審議などが必要となるのでは、遅きに失する恐れが大いにあった。そうした中で、厚生労働省が取った対策は、事業者にとって最善の方法であり、救いの手になったのだ。
そこで、今回と次回は、多くの事業所が休業を余儀なくされた通所介護事業に関する国の「コロナ特例措置」の内容を、時系列で整理する。
最初の関連の事務連絡は、厚労省が2月17日に出した「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」だ。後に、これが「第1報」と呼ばれ、以降は同様のタイトルの事務連絡の発出が「第2報」「第3報」などと続くことになる。
第1報では、コロナ禍という特殊事情での対応の具体的な取り扱いについては、「令和元年度台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて」(2019年10月15日付厚労省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)での取り扱いに準拠することが示された。ここで分かるのは、過去の災害対応の経験が生かされて、素早い対応がなされたということだ。これは評価されるべきだ。
第1報には、居宅サービス計画書に基づいて通常提供しているサービスを提供していた場合に算定できていた加算や減算について、引き続き行うことも示されており、「新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、中重度者ケア体制加算の要件の算出の際、当該利用者数等を除外して差し支えない。なお、通所介護の認知症加算についても同様である」と説明している。
■通所介護サービスの画期的な方法、厚労省が提示
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