次期介護報酬改定の議論で、地域密着サービスの1つで通所・泊まり・訪問を行う小規模多機能型居宅介護(小多機)の改定が俎上に載った。「在宅限界」を高めるサービスとして整備促進が求められているが、赤字経営が過半数であるため厚生労働省は基本報酬の見直しを提案した。【齋藤栄子】
社会保障審議会・介護給付費分科会の9日の議論では、この基本報酬の在り方をはじめ、「訪問体制強化加算」「総合マネジメント体制強化加算」などが小多機の論点になった。
基本報酬について、当初は中重度者を小多機の対象に位置付けていたため、要介護1・2と要介護3-5の間で差が大きい。例えば、要介護1と要介護3の報酬差は月1万1,793単位になるが、小多機の新規契約者は比較的軽度で、平均要介護度は2014年の2.4から19年は2.2へと低下している。利用者が重度へ移行することで契約を終了する傾向にあり、51.8%の事業所が赤字のため、要介護度ごとの報酬設定のバランスを見直す案を厚労省は示した。
厚労省資料より
「訪問体制強化加算」は、小多機の訪問サービスを評価するもので、訪問を担当する常勤者2名以上の配置や1月当たり延べ訪問回数200回以上などが算定要件となる。小多機の訪問サービス実施状況を見ると、1事業所当たり月間訪問回数が「0回」(4.7%)という事業所がある一方、「400回以上」は15.2%あった。利用者の3割が独居世帯で、これらは他の世帯に比べて訪問回数が多い。
また、身体介護などにとどまらず、退院・外出介助や服薬介助、「本人の地域の避難訓練に参加できるように調整・根回し」といった地域での暮らしを継続する支援も行っている。一人暮らしの高齢者は増加する見通しから、訪問サービスの重要性は高まる。
これらの背景から、より多くの訪問サービスを行う事業所を対象に評価を上乗せする区分を新設する一方で、訪問回数が一定数以下の事業所については
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